公正証書は証拠として強い効力がありますので、金銭消費貸借契約や保証契約、遺言、など幅広く利用されています。
公証役場で公証人に作成してもらいますので、間違いも無く安心であるという点がありますが、一番のポイントは「強制執行」ができる事ではないでしょうか。
強制執行とは、債務者の財産を差し押さえて競売等し、その中から強制的に債権者へ弁済するシステムです。
何故、この様なシステムが準備されているのか簡単に言いますと、約束が守られなかったときの自力救済が禁止されているからです。
もしこの自力救済が認められると、相手の家に乗り込んで脅したり、腕力で強引に叩きのめす等ということが起き、強盗や暴行、脅迫など社会の秩序が乱れ混乱するからなのです。
これは法治国家では当然の事ですよね。
裁判所を通さないと人の財産に強制することはできないのです。
でも、いちいち裁判をして勝訴しないと強制的に権利を履行できないのでは、何かとても面倒ですよね。
そこで、債権者の権利を迅速に守れる仕組みとして「強制執行」というものがあり、裁判で勝訴をしなくても、公正証書があれば、その権利が得られるのです。
実際は、民事執行法で決められています。
公正証書
執行文の付与
債務名義の送達
この3点セットで実現可能です。
公正証書は少々ややこしい話しも多いのですが、この3点セットだけ覚えておいてください。
先ず公正証書を公証役場で作って準備しておく。
債務者が約束を守らず、いざ強制執行をしようと思ったら、公証人に頼んで「執行文を付与」してもらいます。
執行文というのは、実際に債権が存在しその債権に対し執行していいですよと公に証明する文言の事です。
裁判所が、一つ一つの事案について最初から調べるのは大変ですよね。
そのため、作成してもらった公証人に証明してもらうのです。
そして、強制執行するぞということを債務者へ送達します。
これを「債務名義の送達」と言いまして、この3点が揃えば、
裁判を起こして勝訴判決を得なくても相手の財産に対して強制執行ができるのです。
公正証書だけ準備してそれを裁判所に持っていけば勝手にやってくれると思っている方もいらっしゃいますが、人の財産に力を加えて処分をするので、この3ステップが必要であるということ、そして公正証書にはその様なパワーが秘められているということを覚えておきましょう。
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